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東京地方裁判所 昭和48年(特わ)285号 判決

被告人

本籍

東京都新宿区戸塚町一丁目五九七番地

住居

東京都世田谷区太子堂四丁目三一番六号

職業

学習塾経営

下田一郎

昭和七年五月二三日生

被告事件

所得税法違反

出席検察官

鈴木薫

主文

1  被告人を懲役七月および罰金六〇〇万円に処する。

2  右罰金を完納することができないときは、三万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

3  この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人は、東京都世田谷区太子堂四丁目三一番六号に居住し、同所において、小中学生を対象とする学習塾「城南学習指導協会太子堂教室」を、同都目黒区大橋二丁目二二番八号千歳ビル地下一階において、同じく小中学生を対象とする学習塾「城南学習指導協会大橋教室」および通信教育「日本学力開発協会」をそれぞれ経営しているものであるが、自己の所得税を免れようとくわだて、収入金の一部を除外して架空名義の簿外預金を設定する等して所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四四年分の実際総所得金額が一〇、一三五、五四八円あったのにかかわらず、昭和四五年三月一一日、同都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、昭和四四年分の総所得金額が二、〇一一、五五七円で、これに対する所得税額が二三六、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出する不正の行為により、同年分の正規の所得税額三、七一八、〇〇〇円と右申告税額との差額三、四八二、〇〇〇円を免れ(別紙一、四)

第二、昭和四五年分の実際総所得金額が二一、八二五、四三八円あったのにかかわらず、昭和四六年三月一五日、前記世田谷税務署において、同税務署長に対し、昭和四五年分の総所得金額が二、六九四、四六七円で、これに対する所得税額が三八三、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出する不正の行為により、同年分の正規の所得税額九、八七九、八〇〇円と右申告税額との差額九、四九六、八〇〇円を免れ(別紙二、四)

第三、昭和四六年分の実際総所得金額が三二、七〇二、〇一三円あったのにかかわらず、昭和四七年三月一五日、前記世田谷税務署において、同税務署長に対し、昭和四六年分の総所得金額が五、三八九、五六六円で、これに対する所得税額が九一八、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出する不正の行為により、同年分の正規の所得税額一五、七九四、二〇〇円と右申告税額との差額一四、八七五、六〇〇円を免れ(別紙三、四)

たものである。

(証拠の標目) (甲、乙は検察官の証拠請求の符号)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(乙1ないし6)

一  被告人の検察官に対する各供述調書(乙7・8)

一  下田淑子に対する大蔵事務官の各質問てん末書(甲(一)2ないし6)

一  下田淑子の検察官に対する供述調書(甲(一)8)

一  大蔵事務官作成の各調査元帳(甲(一)23ないし25)

一  世田谷税務署長作成の証明書(甲(一)81)

一  押収してある次の書面(昭和四八年押一〇六〇号)

1 所得税青色申告決算書三綴(符号1ないし3)

2 所得税確定申告書三綴(同37ないし39)

(法令の適用)

各所得税法二三八条(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第三の罪の刑に加重)、四八条二項。同法一八条(主文2)。同法二五条一項(主文3)。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

下田一郎

自 昭和44年1月1日

至 昭和44年12月31日

〈省略〉

別紙二 修正損益計算書

下田一郎

自 昭和45年1月1日

至 昭和45年12月31日

〈省略〉

別紙三 修正損益計算書

下田一郎

自 昭和46年1月1日

至 昭和46年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙四

税額計算書

田一郎

44.1.1~44.12.31

〈省略〉

〈省略〉

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